「……海斗?」

視界がふと暗くなって、気がついたら海斗の腕の中にいた

少し苦しいくらいに

「海斗、ちょっと苦しいよ。ついでにいうとらしくないよ。いくら4か月ぶりだからって充電切れるのは海斗の役割じゃないじゃん」

広い背を叩きながら、うれしさを覚えるのは仕方がない

「しるふ、少し黙ってろ」

耳元で海斗の低い声が響く

なんか、以前にも似たようなやり取りをした

そう、あれは海斗が社長とそのご令嬢たちが集う食事会に呼ばれたとき

ご令嬢…

「……あー、」

思い出してしまった

ひとつ

飛び切りビックな出来事を

「あのー、もしや、ご存じで?」

昨日の宮本さんの件

それが合図だったように数秒の沈黙の後、海斗の腕が緩む

見つめてくる漆黒の瞳は、静かすぎて逆に怖い

「昨日、親父から電話があった」

「あー、医院長」

そう来たか