「そう思ったら彼女たちが滑稽でさ、それに気がつけないで振り回されてた自分が一番ばかでさ」

だからさ、思ったの

「とことん海斗を信じてみようって」

それだけの姿勢は、見せてくれていたから

ブン、と勢い良く振ったバットに当たったボールが大きく弧を描いて飛んでいく

「っしゃ、ホームラン!!」

思わずガッツポーズをするしるふの背に

「そんなしるふだから黒崎先生は選んだんでしょう」

そう言うと

「そう。だからさ、ずっと惚れさせてあげなきゃね」

うさしそうに、照れくさそうにしるふが笑う

「ホント、いつの間にかいいカップルになっちゃってさ」

「なんか言った?」

ふと振り返るしるふに

「なんでもない。てかさ、そろそろ変わってよ」

私だって晴らしたい鬱憤たまってるんだから

そう言ってバットを受け取ると思い切りバットを振る

「っしゃ!!一発目ホームラン!!」

良いスピードと軌道で飛んで行ったボールに、しるふの感嘆が漏れる