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沖田side
華楠ちゃんが屯所から消えた、と言うより逃げた。少し前の僕だったなら走りながら…いや歩きもするが殺意を当たり前のように持って探していた。なのに今回は根っからやる気がわいてこない。近藤さんも心配してるから早く見つけなきゃいけないのに…何でだろう。何でと言えば一番気にかかるのは華楠ちゃんが屯所から逃げ出した理由。別に朝は普通にいつも通りの華楠ちゃんで特に不審な点は考えられなかった。そのはず…ん?

いや、待て。変わったのはついさっきじゃない。そういえば華楠ちゃんは池田屋事件の後妙に部屋にこもるようになったし、僕にも他の幹部にも遠回しな接し方であたかも避けているような感じだったような…。でも池田屋で何があってそうなったかだ

そんな事を考えながら僕は不思議と立ち止まり考え込んでいた。屯所の中で一番華楠ちゃんと喋るのは僕だし、よくからかうと面白いから仲はいい…はず。

それにしても池田屋で何があったかが最優先。最初池田屋に立ち入って人をバサバサ斬ってその中でもあの二人は二階にいってた。人を初めて斬ったからとか?…まさか。慣れてなきゃあんな戦いや剣振る舞いはできない。じゃああの変な男と戦ったとき背中を斬られて傷跡が残ったとか。でも山崎君は傷跡は残らないって言ってたし…。
その中でふと自分の行動について振り返ったとき一つの事柄が思い浮かぶ。

総「まさか…だけどそれしか考えられない。」

そう、導き出した答えは僕があの池田屋で吐血をしたこと。

総「でも理由はわかったとしてもどこに?」

いくら理由がわかったとしてもどこにいるかわからなければ全くの意味をなさない。その時向こうの道から

平「おーい!!総司!」
平助とその後ろに夜空ちゃんが走ってきた。平助のスピードに着物の夜空ちゃんが普通に合わせて走ってるのにも驚きだけどね。
総「どうしたの?見つかった?」
平「いや、さっきから町を見渡せるくらいの高さがある神社とかに向かって走り回ってたんだけどさどうもいなくてさ。」
夜「心あたりないですか?」
総「心あたりかぁ。はっきりいってないね。でも他に街を見渡せるくらいの神社や寺が無いんだったら他には…!!」
夜「あっ!沖田さん!?」

その時僕はただ一つの場所を頭に浮かべ知らぬ間に走り出していた。せう関門を通らなくて町が見渡せる、屯所のうらの森へ!!