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「〜♪〜♪〜♪」



軽い足取りで少年は廊下を歩く。



「転落♪1刺し♪焼〜死♪」



口ずさんでいる歌は自作だ。
今適当に歌っているだけの。



「…あとは、この屋敷を燃やすだけか」



ピタリと足を止め、屋敷を振り替える。



まだ奥まで続く廊下は、
暗くて先まで見えない。



今日の任務は、
跡取りである三人の人間を殺し、
屋敷を跡形もないほど燃やすこと。



先ほど全員の死を確認したが、
面白いことに次男が、
廊下まで這いずり出ていた。



凄まじい生命力だと思う。



そこまで生きたい理由は何なのか。



今の俺は知る術もないし、
知ろうとも思わないが
突き動かす「何か」があったのだろう。



「…あーぁ、なんだか毒気抜かれちゃった…。
早く次の物件探そう」



白手袋を外して時計を確認する。



現在時刻深夜01:58。



歩いていた廊下の行き止まりにある、
窓を全開に開いて、足を掛ける。



次にグググッと力を溜めて、
思い切り窓枠を蹴った。



身体が宙に浮く。



重力に従って落下を始めた。



「あの組織も、学校も止めよう。
個人で依頼を受けるんだ」





02:00 カチッ







ドオォオオオォォォォォン!!!!!








屋敷が大きな音を発て燃え上がる。



烏はもう、
この場から飛び去ってしまっていた。