一気に緊張がとける。
後ろでにこにこ笑う優輝さんに
赤い顔を悟らせたくなくて、
空へと視線を游がせる。



「あ………、」



烏……。



真っ黒な羽毛を全身に纏っている烏が2匹、
屋根の上からこちらを窺っている。



「烏、ですか。お嫌いなのですか?」



ジッと空を見ていた私に
疑問が募ったんだろう。
私の視線の先を追って
納得したような表情を浮かべていた。



「あ、いえ。そんなことは………。
ただ、」



「ただ??」



「何で烏は不吉を呼ぶと
云われているのかしら。」



「……………。」