「ぜんぶ、ぜんぶ…っ」


声が震えた。

目が霞む前に、私は。


「あのキスも、あの時間も。」


" ………そして、この気持ちも。 "


「忘れよう…ね!」


尾山の事を、好きだった気持ちも。

無かったことにして。


「今から、私達は…っ普通の同級生!」


静かに頷く尾山を見て、私はその場を離れた。


そう。

私がこの気持ちを無くしたら…
消してしまって、忘れてしまえば、

…尾山に迷惑かけないでしょ?




「ほんとは…ほんとはっ…!」


目から一滴の涙が溢れた。