同時に立ち上がってから気付く。
あ。あたしのほうが背低いな。
ミヤコの身長は160だ。対する少年の身長は、それより幾分か高い、165そこそこだと見て取れた。
自分より年下に思えたので、当然身長も下だろうとなんの根拠もなく思っていたミヤコは、馬には自分が後ろに乗るのだと決め込んでいた。
しかしこの身長差では、自分が後ろで支えて乗るのは困難かもしれない。
けれど少年は歩ける様子でもない。
「……お前、馬乗れる?」試しに、と尋ねてみた。「俺は歩くから、ひとりで乗ってくれると助かるんだけど。」
「まあ、乗れる、けど。」少年は無表情に、ミヤコを見下ろした。「……あんた騎士のクセに俺より背低いんだな。」
「黙れ。」
致し方あるまい何故ならあたしは女だからな! 一応な!
内心で言い返して、あくまでも表面上は「気にしてません」という騎士の顔で対応する。
こんなことなら170センチくらい欲しかったな、といつもとは真逆の思考すら働いてしまうミヤコである。
そうこうしている内に、少年は馬に手をかけ、足場を蹴ってひょいと軽々馬の背にまたがった。
そんだけ軽々乗れるなら歩けるんじゃないかコイツ、と一瞬思ったが、馬の背に乗った途端、少年は大きく息を吸って、吐いた。どうやら無理をしたらしい。
ミヤコはその様子を横目に確認し、ゆっくりと足を前に、歩き始める。
その方向を見て、僅かに少年の顔色が曇った。
「……どうした?」
「……いや、そっちに行くのかと思って。」
「あー、俺は向こうのラクサー国から来たから。」
「……そうなんだ。」
自国の名を口にすると、たった数時間前まで居た国だというのに何故だか懐かしいような気がした。


