足元で二人の踊り子が舞いながら右手を組み合わせ、その手の上からつまさきをバネに空中へと。くるりと縦に弧を描いた、踊り子の纏う衣装が夕日にきらきらとまばゆく光る。
歓声が上がる。ミヤコも気付けば見入っており、意図せず「すごい、きれい」と感想を溢した。
あれだけ優雅に舞えたら、さぞかし気持ちのいいことだろう。
残念ながらミヤコに踊りの経験はなく、想像の範疇を超えることはできなかったが。
そうして見入るミヤコに、ノアが少しばかりからかう口調で「ミヤ、あの子好み?」などと聞いてきたためミヤコは途端に踊りどころではなくなった。
「は!?」と振り向くと、ノアはいつもの無表情で頭をかたむける。
「なんとなく。」
「なわけねーよ! っていうか踊り子みんな顔隠れてるだろ!」
踊り子は皆顔をヴェールで隠している。素顔を見ることはできなかった。
っていうか、なんで女のあたしにそういう話を振ってくるんだ!
とわけのわからないミヤコだったが、直後に思い出す。あたしは何回今の自分が男だということを忘れれば気がすむんだ。
そうか、つまりこの格好で女の子を見つめているとよろしくないわけだな。と、今になってようやく理解したミヤコである。
ちなみにミヤコは、自国では姫の恰好をしているにもかかわらず、剣の腕と男前な性格で女性の人気を集めてしまっている。
といっても外見はかなりの美人なので、もちろん男性ファンも数知れず。ミヤコは気が付いていないのだが。
全身全霊でノアの質問を否定するミヤコの様子がおかしかったのか、ノアは顔をうつむけてクスクス笑いだす。
「ごめん、ちょっとからかってみたかっただけ。」
「お前な……そういう系のやめろよ。」
「ごめんって。わかってるよ。」
「わかってねーだろ。」
「ミヤは違うもんね。」
「はあ?」
ノアの穏やかな笑みに、ミヤコはさらに眉根を寄せた。何が言いたいのかわからない。


