三人はのんびりと街中を歩き回った。
ハルトはお菓子の店にふらふら寄って行ってしまうことが多く、ノアに「いい加減にしたら」と怒られたり。
「これで最後!」と宣言して立ち寄ったお菓子屋で、ミヤコの剣を見つけた小さな男の子が「その剣かっこいい!」と寄ってきたり。
その一言で周りに居た少年少女らが「騎士さま?」「わあかっこいい!」「その剣さわらせて~!」などと集まってきて、ミヤコは一躍人気者になってしまい、「危ないから鞘から出したらダメね。」という約束のもとに子供たちに剣を触らせてあげたり。
その様子を傍から見ていたノアにこっそりクスクス笑われていたのは、ミヤコだけが知らなかったり。
それから街中で迷子になった女の子を見つけ、隠れ世話焼きのミヤコが放っておけずに話しかけ、一緒にお母さんを探すことになり、街中を四人で歩き回ったり。
その子を探していた母親にばったり出くわし、何度もお礼を言われ、仕舞いには先ほどハルトが欲しがっていたお菓子をたくさんいただいてしまったり。
なんとなく立ち寄った店で、昨夜の宴で一緒にテーブルを囲んだ三人組のひとりと偶然再会し、そのまま長話のバカ話に花を咲かせて、店のおかみに叱られたり。
おかみに叱られしょぼくれているそのひとりを見て、ミヤコとノアは顔を見合わせくすりと笑ったり。
昨日ミヤコとノアが一緒に立ち寄った美味しい料理の店に三人で入り、「ここみんなで来たかったんです!」と喜ぶハルトに昨日来ましたなどと言えずにいると、店の店員が「あ、昨日も来てくれましたよね! ありがとうござます!」とミヤコたちに笑顔を向け、悪意はなくむしろ善意しかない笑みだというのにそれが今はどうにも悪魔的何かにしか見えない二人であり。
そして「えぇ!? 二人とももう一緒に来ちゃったんですか!?」とハルトを怒らせてしまい、けれどすぐに「でも今日は三人で来れたので、よかったです!」と心からうれしいという笑顔になるハルトがもはや天使にしか見えなかったり。
もちろん、三人で食べた料理は、昨日よりももっともっと、美味しく感じたり。
そんな、賑やかで落ち着かない、楽しい時間を過ごした。


