頭を抱える二人に対し、ハルトはわけがわからないらしく笑顔のままだ。

 ミヤコは思う。今年ぜってー厄年だと。

 しかし、だったらいい年にしてやろうとも思う。

 巻き込まれ損は御免こうむる。巻き込まれたからには、全身全霊で抜け出さなくてはならないのだ。

 それも、いいもの持って、である。

 致し方あるまい、とミヤコは腹をくくった。

 巻き込まれたからには、最後までやってやろう。


「……よしっ。」


 ミヤコはバシッとソファを叩いて立ち上がる。


「もういいなんでもかかってこい。」

「おー! ミヤさんかっこいいです!」

「それヤケクソっていうんだよミヤ。」

「なんとでも言え。」


 ノアのツッコミを一蹴して、ミヤコはハルトに顔を向ける。

 まずは恰好をどうにかしなければならない。

「あ、そういえば着替え……」城に置きっぱなしだった、と言いかけたミヤコの前に、昨日着ていた服が差し出された。

 その手を辿ると、ハルトが「ふふふ」と得意気な顔で笑っていた。そこで得意気な顔をされても困る。


「そう言うと思ったので、持ってきました!」

「…………。うん、ありがとう。」

「はい! じゃあ、俺とノアは下で待ってますね!」


 ハルトはノアに有無を言わせず、背中を押して部屋を出て行った。

 そうして思い出すが、ノアが居たら着替えすらできなかったっけ、とミヤコはため息をついた。事情を知っているハルトが居てくれてよかったかもしれない。

 ハルトが持ってきてくれた服に着替えながら、ミヤコは朝からどっと疲れたような気がした。