「ミヤさん、おはようございますっ! 今日すっごくいい天気ですよっ!」

「お、おう」としか言いようがない。

「天気がいいのに家に居るのはもったいないですよねっ!」

「そ、そーですね。」ミヤコ的にはそうでもない。

「というわけで、どこか出かけましょうっ!」

「…………。は?」


 いやいやちょっと待て、とミヤコは状況を確認する。

 いきなりやってきていきなり出かけましょうというのはどういうことだ。

 そもそもお前は王子様だろうそんな簡単にお出かけ、できないだろと思っていたミヤコはようやく気付いた。

 ハルトの服装が、一般民の着用するそれだということに。


「……マジですか。」

「まじです!」


 笑顔がまぶしいハルトである。

 ミヤコが頭を抱えるのと同じところで、ハルトの後ろからノアが顔を出した。こちらはミヤコと同じような表情だ。


「……コイツ、抜け出して来たんだって。」

「なんだと。」

「ノアっ、しーっ!」

「いや、遅ぇよ。」


 ミヤコがツッコミを入れると、ハルトは拗ねた顔でミヤコを振り向く。


「大丈夫ですよ、ちゃんと置手紙書いてきましたもん」

「もんじゃねーよ。もっとやべーよ。」

「ちなみになんて書いてきたのハル。」

「えーっと、『少し外出してきます。探さないでください。』って書いてきました!」


 絶望である。


「ハル、史上最悪の置手紙だそれ。」

「俺今全力で国に帰りたい。」