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 午前3時。

 ミヤコに蹴られて、ノアは一度目を覚ました。

 振り返ってミヤコを見ると、ぐっすり夢の中、という寝顔だったので、ノアは思わずクスクスと笑ってしまった。

 こうやって誰かと一緒に寝たのは初めてで、おまけに蹴られて起きる、なんていうのも初である。

 本当に、ミヤにはいろいろもらったな。と、ノアはミヤコの方へ体ごと向き直り、ひっそりとつぶやいた。


「……ありがとう、ミヤ。」


 むにゃ、とミヤコが身を捻る。

 一瞬起きたのかと思って僅かに焦ったが、しかし再びぐうぐう寝息を立てるミヤコにフッと笑う。

 狭いなあと思うけれど、なんだかその狭さが心地よかった。

 ノアはもう一度目を閉じる。



 それは静かな夜の話。
 ミヤコが一生、知らない話だ。






―find the Happy end―
前編 end.