笑いの収まらないミヤコに、ノアは拗ねたようにムッとする。


「……笑うな。」

「ごめんっ、だって、」あはは、とミヤコは笑い、息を吐く。「……おかげで、元気になった。」


ミヤコがそう伝えれば、ノアはしょうがないという風に許してくれた。


 「それならよかった。」




 それからしばらく会話を続けていた二人だが、時間も時間ということで眠ることにした。

 ミヤコが「帰るの面倒だしここに泊まる」というと、ノアは少々困ったように「来客用の布団とかないんだけど」と返した。

 じゃあどうするかと言えば、選択肢はひとつしかなかった。


「ノアそっち詰めて。」

「ミヤ場所取りすぎでしょ。」

「こっちもギリギリなんだよ。」

「だから狭いって言ったじゃん。」

「だから俺雑魚寝でいいっつったじゃん。」

「それはダメ。」

「なんで。」

「ミヤは大事なお客サマだから。ミヤが雑魚寝するくらいなら俺がする。」

「えそれはダメだし。」

「なんで。」

「ノアは大事な友人だから。」

「なにそれ。」

「はいそっち詰めろ。」

「大事な友人にそれかよ。」

「さっきも言ったけど俺すげー寝相悪いからホント。」

「逆にどれくらい悪いのか見てみたい気もするよね。」

「蹴り飛ばしたらごめん。」

「いーよ。」


 それも面白そうだし。

 語尾にそう付け足してノアは笑う。

 狭いベッドで二人、場所取りにあーだこーだと言い合いながら、なんだかんだとそれすら楽しんだ。

 そうして埒が明かないまま、いつの間にか二人して、寝落ちていた。