Different world story





「ノアと俺は一緒に生まれました。双子って兄も弟もよくわからないじゃないですか。だから基本的に、この国は双子は同等と考えてるんです」

「……はい。」

「それなのに、ノアと俺は同等に扱ってもらえなかった……」


 何故だと思いますか? と、ハルトはミヤコの瞳を見据えた。


「――俺に、“力”があったからなんです」


 それだけなんです。

 そう付け加えながら、ハルトは視線をテーブルへと下げた。

 同時に下へ傾く頭。さらりと色素の薄い髪の毛が、ミヤコから表情を隠した。


「……力、というのは、あの橙色の……?」

「はい。もしかして、夜の点灯、見ましたか……?」

「ちょうど外に居たんです。王子の力であることと、夜の街を照らすその理由も、ノアから聞きました。」

「ノアから……」


 双子の名前をつぶやくその裏側には、きっといろいろな思いがあるのだろう。

 ミヤコは間を置いてから、尋ねた。


「どうして力があるほうを特別に扱ったんですか?」

「……代々、この国は“色の魔法”という力を持った人が王族に生まれると、国がよくなるのだとしてきました」

「……それが、あなただということですか。」

「そういうことに、なります……」


 国々によって特別視されるものは違ってくる。

 ミヤコは他国に疎いためかもしれないが、しかしハルトのような力を持った人間はそう多くはいないだろう。

 詠唱魔術や錬金術の類はあったとしても、ハルトの持つ力はそれらと同じものではない。特異なものに思えた。