反逆者とはどこにでも湧くものだ。どれだけ国を良くしていこうと、どこかで誰かが、小さなきっかけで狂っていく。
それがミヤコは、悔しくてならなかった。
賊軍のリーダーはミヤコを上から下までじっくりと眺め、そしてもう一度顔を見るとにやりと笑った。人を見下したような笑い方だ。
「お前、見たところ騎士っぽいなあ」
「……それがどうした。」
「いいや、その腰にさした剣、おもちゃじゃないかと思って」
リーダーの台詞に、後ろに居た4人がどっと笑う。
「どこの店で買ったんだろうなあ!」「こんな弱っちい騎士は見たことがねえ!」「まったくだ!」などと好き勝手に言っては、耳障りな笑い声を上げる。
「まあ、そんなおもちゃを持った騎士さんには用がない」リーダーが笑いの残る口調で言う。
言いながら、視線をミヤコから、ノアへと移した。
「俺等の用事は、おめーだよ」
「……なに?」
ノアが訝しげな声で聴き返す。その声は聞くからに苛立っていた。
ミヤコへの侮辱に怒りが沸き上がっている状態だった。
その苛立ちに気づいているのか居ないのか、賊のリーダーは右人差し指を伸ばし、ノアに向かって突き付けた。
「……お前、オウーイ国の王子だな?」
ノアが息を呑む。ミヤコは傍でそれを感じ取った。
昼間、ひとりの少女に尋ねられた時とはわけが違う。
何故なら賊のリーダーは、自分の放った言葉に確信を持っていたからだ。
「……違う。」ノアはようやく否定を示した。「俺は王子じゃない。」
「さあて、どうだろうなあ?」リーダーの男はどこからともなく、一枚の写真を取り出した。


