宣言する。

 国中が歓声を上げた。拍手が鳴りやまない。

 よかったと、ミヤコは心の底から思った。

 よかった。

 ここに来て、本当に良かった。

 ノアが振り向く。ミヤコに手を差し伸べた。


「ミャーコ。」


 ノアはミヤコをそう呼んだ。

 なんだそれ、とミヤコは笑って、ノアの手をとった。

 引かれるままにノアの隣へ行き、改めて国を見渡した。

 誰もが笑顔で、誰もが幸せで。

 そんな国にしていくのは、並大抵の努力では難しい。

 けれど今なら、それも可能に思えて仕方ない。

 そう思わせてくれる、存在が居るのだから。


 ミヤコはノアを見上げた。

 ノアはミヤコを見下ろす。

 そしてミヤコの腕をとり、顔を近づけた。


 ――ちゅ、と。


 一瞬、何が起きたかわからなかった。

 後ろの部屋が、テラスが、大広場が、国中が静まり返る。

 ミヤコは唖然と自分の腕を見つめた。

 国中に静寂をもたらした張本人、ノアはあの、意地の悪い笑みで、してやったりとミヤコを見つめた。


 いや、ちょっと、待ってくれ。