拍手がやむのを待って、ハルトは再び口を開いた。

 その表情の真剣さに、国民はハッと息を呑む。


「皆さんに、言わなければならないことがあります」


 きたな、とミヤコは僅かに脈を速めた。

 昨日、ハルトは事実を知っている皆に宣言したのだ。ノアのことを話すと。

 隠し事はよくないと、暗い部分を隠そうとしたから今回の争いが起きたのだと。

 すべて話したあと、改めて国を見直す。そして皆でよくしていかなければならないと。

 ハルトの決意に、ミヤコは何も言わなかった。ただ、頷いて見せた。

 綺麗事かもしれない。事はそんなに甘くない。

 けれどやらなければならない。やらなければ、また争いは起きる。

 変えていかなければならないのだ。

 国を。明るいほうへと。


「ノアは、私の双子です」ハルトは国民へ向けて、告白した。「ずっと、私の身代わりとして生きていました」


 ざわりと大広場が不穏に包まれる。

 それでもハルトはやめなかった。


「理由は私に力がある、それだけです。色の魔法は国を良くする、その言い伝えのためにノアは身代わりをしてくれていました。自分がどんな目に遭ってもいいと、私が幸せならそれでいいと」


 大広場が次第に静かになって行く。

 ハルトは声を張り上げた。それはきっと、涙をこらえるため。


「だけどそうじゃない!」


 彼は言い切った。


「色の魔法が国を良くする、そんな言い伝えのために、誰かが不幸になってはいけない! それは間違ってる! そんな国が、幸せになるわけがない!」


 途端に大広場がどっと沸いた。