そして皆は、それが王子ひとりで成し遂げたものでもないと、知っていた。

 皆、他の二人を知っている。

 巻き込まれ、血を流して倒れる街の人々を、必死の思いで助けて行った、残りの二人を誰もが見ていた。

 国民が呼ぶ。彼ら三人を。


「ノア、ミヤコさんっ」


 テラスでハルトが振り返った。その表情は晴れやかだ。

 呼ばれた二人は顔を見合わせた。どうやら表に出なければならないらしい。

 傍に居たイズミやミク、ヤヨイやスーが「ほら早く」と二人を促す。


「しょうがないか。」とミヤコは苦笑した。

「みたいだな。」とノアも笑った。


 二人は椅子から立ち上がり、テラスへ向かった。

 そうしてハルトの隣に立つや否や、大広場からわあっと歓声が上がった。

 これほどまでの歓声に迎えられることは、ミヤコはもちろん、ノアは確実に初めてだった。

 ノアは驚愕の表情で、呆然としたようにテラスの手すりに手をかけた。

 大広場を見下ろすその横顔に、ミヤコとハルトは目配せしてから密かに笑った。


「今回、このお二人が大いに活躍してくれました」


 ハルトは国民に向き直り、二人を交互に見やった。

 そしてまずミヤコに手を伸ばした。


「こちらは隣国であるラクサー国の姫、ミヤコさんです。隣国でありながら、争いから皆さんを守り、我が国を助けてくれました」


 わっと拍手が起こる。

 次にハルトは、ノアに手を向けた。


「こちらは、名をノアと言います。類稀な命中力と判断力で、今回の争いを食い止めてくれました」


 今度も歓声が上がる。