「ノア、大丈夫だよ。」
ありきたりな言葉。
けれどノアは、ミヤコがくれたその一言が、唯一無二の魔法に思えた。
自然と頬が緩む。
「……うん。」
頷いて、ミヤコの隣に並ぶ。
そうして部屋を後にした。
城の外が騒がしい。
国中の人が集まっているだろうその場で。
本日、ノアは“身代わり”を捨てる。
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大広場を見渡せる城のテラス。
大広場には街中の人々が集まっている。
その人々に、いや、国中に向けて、ハルトは話をしていた。
ミヤコたちはそんなハルトの後姿を見ながら、テラスに繋がる部屋で、歓声と拍手を聞いていた。
国民は昨日の争いごとを知っている。
家族や友人、大切な人が傷ついた者もいるだろう。
けれど誰一人死人が出なかった。国民はもちろん、兵士も、そして賊軍にも。
そのことに国中が喜んだ。
争い事があったのは事実。けが人も出た。
しかし誰一人居なくなることがなかった、それだけが救いだった。


