ミヤコが「敬語とかいらないから」というので、護衛は皆普通にミヤコと会話をする仲だ。
ちなみにスーは地方出身で方言が目立つ。腕はなかなかのものだが、力技を除けばミヤコのほうが強い。護衛と呼んでいいのかその時点ですでに怪しい。
「ホントはあたしもスーさんいらないかなって思ったんだけど、どうしてもっていうから連れてきた」とミクが会話を挟む。
「いらないってなんだいらないって!」
「まあ今回スーさんあんま役に立ってないから帰って寝てていいっすよ。」ミヤコが右手を振る。
「なにこれ、これが格差社会っちゅーやつ? 俺泣いていい? 泣いていいとこ?」もはやスーは言い返せない。彼は根っからのいじられ役である。
こんな性格だからか、外見は上の中というくらいにいいのだが、彼女のひとりも居ない。彼女もいないので嫁も居ない。実に可哀想な人である。
ミヤコはスーに容赦ないが、まあ今回は、と。
「……迷惑かけてすみませんでした。」
スーの前まで歩いて行って、そして頭を下げた。
ミヤコの行動に護衛は驚愕の表情を浮かべる。かと思えば、慌てて自分も頭を下げた。
「いえ、あの、姫はなにも、」
「いや、今回はあたしが悪いし、スーさん止めようとしてくれたの聞かなかったので。」
「…………。」
「追いかけてくれてありがとうございました。」
「……心配したんやけんな」
「……はい。どもです。」
頭を上げて、自分の護衛を見上げる。護衛は本当に、真剣な顔で姫を見ていた。
スーのそんな表情はミヤコ的にはレアだったので、見慣れない顔に思わず笑った。
「なんだかんだスーさん超いい人。」
「……笑いながら言うなよ……」


