扉を開けると、そこには割れた皿とそれを拾う朔太郎の姿。
朝からなんとまぁ、派手にやったことか。
「何朝からテンパってんの?」
そう声をかけると、朔太郎は振り向いた。
その顔を見て、少し驚いた。
昨日まで生えていた髭がない。
新品だろう、綺麗なスーツも着ている。
それだけではなく、なぜか頭もセットして整えていた。
…残念なことに、小綺麗にした姿に似合わない傷がついていた。
思わず笑ってしまった。
「んだよ、ユリ。なんで笑ってんだ?」
「今日は彼女とデート?」
「はぁ?」
「だって、そんな格好の朔太郎、今まで見たことないもん」
そう言うと、朔太郎は首を傾げた。
「そうか?」
「そうだよ」
「ま、たまにはいいだろ。こんな格好も」
「似合わない」
「うっせ。ユリの入学式ん時くらい、格好つけさせろよ」



