「夜が明ける…そしたら俺は蛇になる。

 若葉をかみ殺したがる毒蛇に。
 
 魔神と契約した事は後悔してない。

 だって俺がやらなきゃ誰かが体を乗っ盗られてたんだ。

 さっさと行け!」


「マリは逃げなかった。

 今離れたら一生逢えないと思った。
 
 契約を破ったヒタは、言葉どおり、毒蛇になった。

 それでもマリは、逃げようとは、しなかった。

 反対に、塔の中に閉じ籠もった。

 毒蛇と一緒に。


 ヒタはもはや、どこにもいなかった。

 マリのことも、わからないようだった。

 そんな蛇に向かって懸命に話しかける女王の姿は、痛々しかった。」