とある国の、とある街。

賑やかに人が行き交う道で、

一人の青年が呼び込みをしていました。

かたわらにはリュートがあります。

この青年は旅人でした。

こうやって、各地で昔話を語り歩いているのでした。


「さあさあみなさんお立ち会い!

 今日は遠い砂漠の物語。女王様の恋バナだ。

 女王様といってもまだ十四歳。

 俺の話を聞いてくれてる兄ちゃんやら嬢ちゃんやらと、

 ほとんど変わんねえ年だわな。」


老若男女、たくさんのお客が集まってきました。


「あ、お世辞言っちゃったかな?」


お客の半分ぐらいが、去っていってしまいました。


この青年はいつもひとこと多いのでした。

あとで反省するのですが、癖はなかなか直せません。