愛するが故に・・・

私はこの状況がうまく理解できないでいた。

そして、その状況下で声を発したのは和真さんだった。


「こんなところで男に声かけられてんじゃねぇー」


いやいや…私も掛けてほしくてここで待っていたんじゃないんですけど…

あなたが微妙な電話の切り方をするから、とりあえず待ってみたんですけど。

でも、今の和真さんにそんなことを言えそうにない。


和真さんは私の腕をつかむと何も言わず歩きだした。

そして、近くに止まっていた車に乗り込んだ。

正確にいえば、私を押し込めて続いて乗り込んだが正しいと思う

その車が…何だかいかにもって感じの車


外からは中の様子が全く見えない、真っ黒のベンツだった。

この車を見るだけで、いかにもって感じに思えた

こんな感じの車の乗り込むのはこれで二回目だ。



この前、父親の会った時もこの手の車だった。

…私の父親(この前初めてあったばかりだけど…)の職業はやくざ。

やくざを職業というのもおかしいかもしれないけど…

母親が結婚しなかった理由は相手がやくざだったから…

それも国内最大の暴力団。

そして、現在はそこの会長に納まっている。

私をやくざの娘にしたくなかったと母の手紙には書いてあった

父親は母の事を忘れることなく、誰とも結婚をしなかったそうだ。

ちょっと、嬉しい気がするけど…



そんなことを思いながら、私は和真さんの車でゆられて少しすると車は停車した。