愛するが故に・・・

「そうだね。でもこんなところで話をして困るのは森本さんだと思うけど、

 それでもいいのかな?」


『何の話ですが?』


きっと私の顔は眉間にしわが寄っているような感じなんだろう。


「昨日、俺見たんだ。

 仕事帰りに男が車で迎えに来ていたよね。」


昨日を田中さんがお迎えに来てくれた時を見ていたんだ・・・


『それが何なんですか?』


「森本さんはあの男と付き合っているの?

 あんなろくでもないような男と…」


確かにやくざなんてって思いがないわけではないけど、

田中さんの事を何も知らない癖に、

ろくでもない男と言われるような人ではない。


『角田さんのおっしゃっている意味がわかりませんが…』


「言葉の通りだよ。

 男として最低な奴だと思うよ。

 あいつ、何度か見かけたことがあるんだ。夜の街で…

 毎回いろんな女を捕まえているみたいだよ。

 まあ、あの顔なら選び放題ってところなんだろうけど…」