三限の数学をサボって、私達は渋谷へ向かった。

渋谷駅は乗り換えでよく利用するものの、若い男女ばかりで活気のある、私には眩しい場所だった。


スクランブル交差点を渡る。何故、こんな大勢がどこかへ向かって、小走りで歩いて行くのかが不思議でしょうがなかった。


「やっぱりスタバっしょ」

赤髪のその言葉で実は喉乾いてたんだーと本音を漏らすナナミを横目で観察しつつ、喫茶店の曇りガラスを覗いた。


会社のロゴだけが入ったシンプルなノートパソコンを開き作業する社会人、ひたすら本を読む人、世間話をするおばさん達。

皆、有名なロゴの入った喫茶店のカップが似合っている。