「お待たせしました~」
店員さんは明るい声でこちらにドリンクを差し出した。

レシートを見せようとしたけど、必要がなかったらしく店員さんは忙しく働いていた。

それにしても……ホイップクリームがずっしり乗っていて、その上にキャラメルソースがかかっている。まるでシェイクみたい。

「ナナミ、もしかして甘党……?」

「ええー女子はみんな好きなんだよこれえ~雨音ちゃんこーいうのだめ?」

挽きたてのいかにも苦そうなコーヒーの匂いが漂う店内で、こんなデザートみたいな飲み物が出てくるとは夢にも思わなかった。

見るだけで胃もたれしそう。
何を隠そう、あたしは甘いものが嫌いだ。

その空気を察して失敗したかな…と潤んだ目であたしを見る。や、やめて!そんな目で見られたら!


「交換する?」

同じサイズのブラックコーヒーを片手に、赤髪は言った。

赤髪とは趣味合うなぁ……