Special Edition



―――――そう。

俺は葵がアイツからフラれた理由を知っている。

恋愛経験が無い葵がプレイボーイに狙われ

それに流されなかった葵は、

『ガードが堅い』と容易く捨てらて、

そして、この俺と出会った。



「潤くんって、時々意地悪になるよね?」

「へ?………そう?」

「うん」


フッ……。

そんな風にふて腐れた顏も

苛めたくなるんだよなぁ。


「ごめん、ごめん」


俺は優しく頭を撫でていると、


「あっ!!そうだ」

「ん?」

「ちょっと待っててね?」

「ん」


葵は鞄からB6サイズの箱を取り出し、


「はい、どうぞ」

「へ?」

「今日はバレンタインだよ」

「あっ……そうか」

「もしかして、気付いてなかった?」

「ん」

「フフッ、潤くんらしい」


葵はニコッと笑みを零した。

さっきまで泣きそうだったのに。