医師国家試験初日の朝――――
「気をつけて…」
「ん」
「いつもの潤くんで大丈夫だからね?」
「ん」
出掛ける前に自室で葵が。
彼女は優しい眼差しで俺を見つめ、
華奢な身体で俺を抱きしめた。
「大丈夫。潤くんなら120%の力を発揮できるから」
彼女が俺の胸で励ましてくれる。
神頼みよりも効き目がありそうだ。
好きな女からの温かい言葉。
「ありがとう」
俺は抱きしめ返して
「行って来る」
「はい、いってらっしゃい」
彼女のおでこに軽くキスして、
俺は試験会場へと自宅を後にした。
試験会場に到着した俺。
受験番号で割り振られた部屋へと。
受験票と筆記用具を机の上に、
鞄を机の下に置いて、軽くストレッチ。
大丈夫……落ち着け……力を抜いて……。
軽く深呼吸して、精神を集中させた。



