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「えっ、……世子様っ、何をなさっておいでで?」
「何って、衣を脱いでいるだけだが?」
大満月を楽しみ、散策を終えた二人は居室へと戻って来た。
まだ二月ということもあり、体が冷えては元も子もない。
湯浴みの準備が出来ていると報告を受けたヘスは、ソウォンを湯浴み場へと案内した。
衝立に長衣を掛け、上衣の結び紐を解き、脱ごうとした、その時。
衝立の向こう側から、ヘスの衣がバサッと掛けられたのだ。
慌てて結び紐を結び直すと、上半身裸のヘスが衝立の奥から姿を現した。
「えっ、……世子様、何かの間違いでは?」
「フッ、……夫婦なのだからよかろう?」
ヘスに背を向け、結び目をぎゅっと握りしめているソウォンをヘスは背後から抱き締めた。
「もう、……そなたの全てを知っているのだから、今さら隠すことをせずともよいではないか」
「っ……」
耳元に囁かれ、ソウォンの体がビクンと跳ねる。
すると、ヘスの指先は器用にソウォンの結び目を探し当て、スッと解きにかかる。
チョゴリの結び目は、紐の端を下に引けばするりと解けるようになっていて、紐の端さえ掴めれば見えなくても解けるのだ。
耳元に寄せられた唇は首筋を捉え、ソウォンの抵抗を制止するかのように唇が肌を伝う。
未だにそういった行為になれないソウォンは、完全にされるがままで……。
唇が離された時には、器用に上衣がヘスの手によって衝立へと投げられた後だった。
露わになった肩先。
あっという間に下衣も剥ぎ取られ、下着姿のソウォンは両手で胸元を覆い隠す。



