カフェのドライブスルーで珈琲を購入し、葵さんの車で近くの公園の駐車場に。
「彩葉ちゃんに、こういうことを勧めるのは気が引けるんだけどね」
「………はい?」
「彼の家に転がり込むとか、お泊りしに行ってそのまま数日過ごす的なことしたことある?」
「………ないです」
「だよね?………しなそうだもんね」
「葵さんだって、しなそうですよ?」
「え?……そう見える?」
「はい」
「フフフッ、そうなんだぁ」
「違うんですか?」
「うん」
「えっ」
話を聞くと、大学時代に彼の家、正確には彼のお姉さんの家に居候していたようで。
元彼と別れた口実から、先輩に偽彼氏としてボディーガードして貰ったとか。
先輩。
あなた、そんな黒歴史持ってたんじゃないですか。
知りませんでしたよ、ウフフフフッ。
「生活の軸を合わせるとね、見えて無かったことが見えるようになるし。それで合わないようなら結婚は無理だと思うしね」
「……はい」
「何より、どんな彼であっても受け入れられるのか、ちゃんと見極めるためにも同棲するのはお勧めする」
「どんな彼……でも」
「ん」
葵さん曰く。
寝癖が酷かろうか、無精ひげ状態であろうが。
本質から相手を好きでいるなら、必然と一緒にいられるらしい。
「私、……やってみます」
「無理に頑張ろうとせずに、気楽にね?」
「……はい」



