Special Edition


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「5分だけ待っててね」

「10分でも30分でも待ってるから、大丈夫だよ」

御影百貨店でのイベントを終え、

事務所の車の中で早着替えをすることに。

山ちゃんに準備して貰った服に着替え、

カラコンを入れて、ウィッグを取って……。

目元に偽ほくろを仕込み、最後にマスクと眼鏡をかけて。


「お待たせ~」

「早いな」

「フフッ」


車の外で待っていた彼の腕に抱きついた。

久しぶりに彼とデートをする。

婚約を発表して以来、お互いに仕事が立て込んでて

旅行から帰国してからは、今日が久しぶりに時間が取れた。


「どこ行こうか」

「とりあえず、ご飯?お腹空いた」

「何食べたい?」

「何でも」


一日中立ちっぱなしで疲れ切っていたはずの体も

彼とこうして一緒にあるけるだけで

疲れていた事すら忘れてしまうほど幸せで。


変装用に偽ほくろ付けたり、マスクしたりしてるけど

本当はバレても大丈夫。

だけど、彼が気にするから、一応ね。


市内のメインストリートをゆっくり歩きながら

『旬の素材を贅沢に活かした、職人が一からこだわる創作和食』のお店で夕食を。

個室が完備されていて、綺麗な室内に心地よい音楽が流れ

珍しく日本酒を飲みながら、楽しいひと時を味わう。


ほろ酔い気分でお店を出た私たちは、

手を繋いで肩を寄せ合い、時折視線を合わせながら

イルミネーションに彩られたショップを廻って……。