彼の体をホールドするように回した手に彼の手が重なった。
ゆっくりと体を反転させた彼。
暗くて表情が伺えない。
だけど、分かる。
もう怒ってないんだって。
私の頭の下に腕を差し入れ、
もう片方の手が優しく髪を撫でるから。
「ごめんなさい」
「怒ってないから」
「ごめんなさい」
「……しつこい、同じことを二度も言わせんな」
「京夜様っ、大好きっ」
「っ……」
彼の胸に飛び込んだ。
決して華奢な体ではない私の体をぎゅっと抱き締めてくれる。
それだけで嬉しくて。
可愛げもなく、美人でもない。
これといって取り柄もない私を
こんな風に大きな愛で包み込んでくれる彼が本当に大好きで。
髪に触れる優しい指先。
頬にかかる甘い吐息。
何度も啄められる柔らかい唇。
彼から与えられる全てに反応してしまう。
「きょ……ぅ……や…さまっ……」
「……煽るな」
暗闇に慣れたせいか、薄暗くても彼の顔が見える。
魔王様じゃない、優しい王子様の彼が。
少し余裕がない感じが堪らなく嬉しくて。
そんな彼にもっともっと愛して欲しくて……。
優しい彼の表情を瞼の裏に焼き付けて目を閉じた。
星のように降り注ぐキスは
私の心を一瞬で埋め尽くし
他に考えることが出来ないほどの愛を……。



