Special Edition



彼は志帆ちゃんを『相澤』と呼び、皆川さんは私を『早坂』と呼ぶ。

結婚して苗字が変わったのに何故かって?

そんな事、決まってるじゃないっ!!

彼の『独占欲』という、深~い愛情のお陰よ。


結婚して4人で逢う事も多くなって、その時に皆川さんが不意に『麻生さんじゃ変だよな。じゃあ、小町か?』なんて、私の名前を口にしたものだから……。

『小町って、呼び捨てにしていいのは“俺”だけなんでっ!』だって。


歳も上だし、職場でも先輩なのに『小町さん』じゃ、どう考えてもおかしいじゃない。

それに、大和が志帆ちゃんを呼ぶのだって、『皆川さん』ってのもしっくり来なくって……。


で、結局……今まで通りに呼ぶ事になった。

周りにいる人が聞いたら、絶対夫婦だとは思えないよね。


私は呼び名だなんて、何でも気にしないのに……。

そんな些細な事でも彼にとっては重要らしい。

付き合わされる志帆ちゃん夫婦の身にもなれっての!




満開の桜の樹の下に既に茣蓙が敷かれていて、お重に詰められた料理やオードブル状の大きなお皿がテーブルの上に用意されていた。


「凄~~~いっ!!」

「わぁ~、美味しそう~~♪」


私と志帆ちゃんは、無意識に感嘆の声を上げていた。