Special Edition



販売店を後にした俺は大通りから国道に出て、軽快に愛車を走らせる。

すると、


「あの、……周さん?」

「ん?………何?」

「もしかしなくても、この車………周さんのですよね?」

「うん」

「もしかして、さっきのお店で買われたんですか?」

「そう」

「………」


免許取り立ての初心者がいきなり高価な車を買ったのだから驚くのも無理はないが、免許自体は高校3年の夏休みに取ったから、もうじき1年になる。

初心者マークを付けて運転するのもあと3ヶ月だけ。


信号待ちの俺は、車内をキョロキョロと見回す彼女の頭にポンと手を乗せ、


「言っとくが、これは自分の金で買ったからな?」

「えっ?」

「今まで家の仕事をして貰った賃金で買ったんだよ」

「…………でも、凄いですっ!」

「…………だよな」


蘭が驚くのも無理はない。

だって、この車………結構な額だからな。


でも、今まで他に使うモノも無かったし、女遊びは完全に割り勘たっだし、プレゼントを買ったりしなかったからそれなりにお金は貯まっていた。


意外にも俺は倹約家だったのかもしれないな。