「ごめん、怒ってるわけじゃないから」
「………ん」
私を安心させようと髪を撫でる彼。
彼の優しさは十分知ってる。
だから私は―――。
「ッ？！……ちょっ、ちょっと、寿々さんっ」
「…………」
私は彼に抱きついた。
だって、これが今の私の正直な気持ちだもん。
「………好きなの」
「………ん」
「好きだから………」
「…………」
「何されても許せるよ」
「ッ？！」
「好きな人には触れて貰いたい。だけど……」
「…………」
「あの人に………抱かれたカラダだから、嫌？」
「はっ？」
私の声に反応するように身体が離れた。
そして、真剣な瞳が私を捕らえる。
「何、言ってんの？」
「だから、………汚らわしくて、触れるのも嫌なんじゃないかと……」
「もういいからっ」
彼は私の身体をきつく抱きしめた。
………痛いほどに。
「………一颯くん」
「黙って！」
「でも「もう何も言うなっ！！」
彼の少しきつめの口調が嬉しい。
彼が痛いほどに抱きしめてくれる事が嬉しくて……。
「ごめんね」
