一度は別の人と結婚しようとしていた女なんて、普通なら快く思わない筈。
だけど、私の過去を知っても彼らは嫌な顏1つしていなかった。
一颯くんは私の事を一体、何て話したのだろう?
そう言えば、一颯くんが言っていた。
『結婚詐欺で訴えるなら、母さんが弁護してくれるって』
冗談で言ったと思える言葉でも、私にとっては何より嬉しかった。
そんなお母さんのお気持ちに応えるには、私はまだまだ未熟者だ。
彼の隣りに立つのだって、まだまだ自信がない。
彼はこれからもっともっと日の当たる場所へと出るのだから。
そんな彼を影からそっと支えられたらいいな。
去年は色んな事が次から次へと起きて、本当に目まぐるしかった。
今年は一体、どんな年になるのだろう?
除夜の鐘をついたのだから、きっと幸せな年になる事は間違いないよね?
あれこれ考えているからなのか、中々寝付けない。
いつもの布団じゃないから?
いつもの景色じゃないから?



