別に一緒に寝たい訳じゃないし、1人で眠れない訳じゃない。
だけど、初めての家で1人にされると、ちょっと心細い。
幽霊や泥棒を心配してるとかじゃないんだけど。
何だか、ほんの少しだけ淋しさを感じてしまった。
無意識に視線を落としていると。
ポンと頭の上に彼の手が置かれた。
「淋しくなったら隣りの部屋においで」
「……………うん」
「じゃあ、おやすみ」
「………おやすみ」
髪にそっとキスを落として、彼は隣りの部屋へと。
パタンと隣りの部屋のドアが閉まる音がした。
私はベッドに腰掛け、彼がいる隣りの部屋へと視線を向けた。
『その壁の向こうに彼がいる』そう思えば、淋しくない。
私はパジャマに着替えて、ベッドに潜り込んだ。
お布団からお日様の匂いがした。
恐らく、年末年始に息子が帰省すると思い、お母さんが干しておいてくれたのだろう。
ふと、置手紙の言葉を思い出す。
それから、リビングで話していた会話も。
快く迎えてくれている事に胸が熱くなる。
こんな私なのに―――………



