「貴女が寿々さんね!一颯の母です、よろしくね♪」
駆け寄って来たお母さんに手を取られ、驚いて顔を上げると自然と視線が絡み合う。
とても温かい手。
そして、一颯くんと同じ瞳をしている。
どこまでも寛容で優しく、澄んだ瞳だ。
あまりにも似ていて、思わず見惚れてしまった。
背格好は父親似で、顔のパーツは母親似だ。
優しく微笑むお母さんは、大きな紙手提げをテーブル脇に置くと。
「えぇ~っと、これが麻里香ちゃんで、こっちが私の♪」
何やら楽しそうに大きなテーブルの上にラッピングされた袋を置いた。
そして、同じラッピングであしらわれたもう1つの袋を差し出すお母さん。
「はい、これが寿々ちゃんの!」
「へっ?」
「母さん!そんないきなりじゃ、寿々さんがビックリするだろ!」
唖然とする私をフォローするように一颯くんが口を挿む。
「あら、ごめんなさいね?私ったら……」
ウフフッと微笑むお母さんは、少女のように可愛らしい方のようだ。
「寿々さん、ごめんね?」
「あっ、ううん」
「開けてみて?3人で色違いにしてみたの♪」
お母さんがあまりにも楽しそうに話すものだから、悪い気は全くしない。
むしろ、好意的に思って貰えてホッとしてしまうくらい。



