赤らめた顔がますます赤みを帯びて……。
そんな彼女を大事にしたくて抱きしめる。
我慢ガマンがまん。
今はまだその時じゃ無い筈だ。
必死に理性の手綱を握りしめ、自分自身に何度も言い聞かせる。
なのに、寿々さんは照れ隠しなのか、俺の上着をギュッと掴み顔を埋めた。
……そんな行動は、火に油を注ぐって分からないのかなぁ……。
嬉しいような苦しいような……。
ホント、困った人だ。
何とも言えぬ感情を押し留め、俺は彼女の身体をゆっくり離した。
「何か、飲む物を持って来るよ」
はにかむ彼女をベッドに残し、キッチンへと向かう。
彼女から離れるのがベストだと考えた。
だって自室のベッドの上で、想いを寄せ合う男女が……なんて状況に、完全に呑まれる所だ。
俺は彼女を大事にしたい。
今が良ければそれでいいと言うのではなく、これからもずっと一緒にいたいから。
だから、軽い気持ちで流されるのだけは……ご免だ。
抱くのは簡単かもしれない。
けれど、抱く意味があるように……思う。
想いを確かめるのであれば、抱かなくたって確かめる事は十分出来る。
………想いを込めたこのハーブティーのように。
俺はティーカップを手にして再び自室に戻ると。



