「もしかして、孫が欲しいわけ?」
「もちろん!!達也でも一颯でもどちらでもいいわ!予定は無いの?」
「予定って………。まだ、結婚もしてないのに」
「あらやだ、今どきデキちゃった婚なんて普通じゃない!!」
「弁護士の台詞とは思えないね。………なぁ、兄貴」
「あぁ」
終始苦笑いの父親の隣りで、母親は既に妄想を膨らませているようだ。
その後は他愛ない話をしながら夜を明かした。
最近、母親の周りで次々と孫ラッシュらしく、出産祝いをしていて自分も欲しくなったらしい。
とは言え、結婚もしていない息子二人に孫が抱きたいと言われても。
兄貴の彼女・麻里香さんは結婚しても仕事を続けたいらしい。
恐らく、子供は直ぐには作らないだろう。
そんな話を兄貴がしたもんだから、すぐさま母親の視線が俺に突き刺さった。
『一颯はどうなの?』
そんな羨望の眼差しを向けた所で、どうにもならねぇっつーの!
それに結婚どころか、付き合い始めたのだってついこの間なのに。
でも、ほんの少し肩の荷が下りた気がする。
これで、寿々さんをこの家に連れて来やすくなったから……。
久しぶりの帰省という事もあり、ビールを飲んだ。
酒が飲めない訳じゃ無い。
むしろ、飲むのは好きな方だ。
ただ、このメンバーの介抱をするという無料特典付きなのが嫌なだけ。
でも、今日ばかりは大目にみてやろうっと。



