驚く俺の横で、兄貴が間髪入れずにツッコミを入れた。
確かに、麻里香さんが来た時は楽しそうにしていた。
でも、それは母親だけ。
麻里香さんは終始苦笑してたもんな。
母親は少しばかり、気の遣い方を間違えているようだ。
「一颯の彼女はお料理上手なのね」
「ん?」
「とっても優しい味がするもの、このお料理」
「そりゃあ、愛情込めて作ってくれたからね」
惚気に似た言葉を吐くと、兄貴にバシッと背中を叩かれた。
「お前、ベタ惚れだな」
「ッ?!………悪ぃかよ」
キッと兄貴を睨むと、
「安心していいわよ」
「へ?」
「もう、麻里香ちゃんにしたみたいに、無理やり料理させたりしないから」
「………マジで?」
「えぇ、あの後、お父さんに叱られたもの。……ね?お父さん」
「………あぁ。あんな調子じゃ、いつになったって嫁が来る気配が無いだろ。それに、この家に連れて来たくないって思われたら、いつになっても孫が抱けそうに無いしな」
「そう!それよ、それ!!」
母親はシュンと項垂れていた顔をパッとあげて、再び目を輝かせた。



