「母さんが料理をしないのは、私にも原因がある」
「え?………どういう事?」
「昔、若い時にな、母さんがサンドイッチを作ってくれようとしたんだ」
「お父さんってば、そんな昔の話を……恥ずかしいじゃない」
母親の横やりを無視して、父親は言葉を続けた。
「サンドイッチの具と言ったら、タマゴだろ?」
「あぁ」
「そのタマゴの具を作る為にゆで卵を作ろうとしたんだが……」
「………ん?」
「グツグツ茹でても殻が剥けないからと数時間放っておいたら………鍋ごと爆発したんだよ」
「え゛っ?!」
鍋ごと爆発って……。
それに、茹でるだけで殻が剥けるかよ!!
母親の料理音痴が今さらだけど分かった気がする。
そりゃあ、爆発した過去があるなら、料理はさせない方が身の為だよな。
家が火事に遭ってもおかしくない!
「もう………済んだ話じゃないですか……」
シュンと肩を落としながら、項垂れる母親。
きっと、母親にとって黒歴史に違いない。
弁護士としての仕事はかなり定評がある。
いつでも凛としていて、仕事をしている姿は尊敬出来るほどだ。
だが………。
「仕事もあるし、今さら料理を覚えようとも思わないけど。将来、お嫁さんと仲良くキッチンに立つのは夢なのよ?」
「えぇ~っ?!」
「それ、無理があるだろ」



