12月30日午前10時を少し回った所。
俺はリビングのソファに座っている彼女を眺め、自然と頬が緩んでいた。
「はい、寿々さん」
「ん~、ありがと~」
リビングテーブルの上にティーカップを置き、俺は彼女の斜め横に腰を下ろす。
俺の視線は真っ直ぐ彼女を見据えているが、彼女の視線は俺以外に熱く注がれている。
しかも、彼女の表情は恍惚としたもので……。
ほんの少し淋しさを感じながらも、でも心の奥では嬉しくて仕方ない。
だって、彼女の視線の先には……俺がクリスマスプレゼントであげたモノが。
それも、この上なく幸せそうに見つめ、壊れ物を扱うみたいに触れている。
「ねぇ、寿々さん、ハーブティーが冷めるよ?」
「ん~」
ダメだ。
完全にトリップしてるよ。
正直、嫉妬してしまいそうなほど、彼女の視線は熱い。
けれど、それほどまでに喜んで貰えるのなら、頑張った甲斐があるというものだ。
だから、淋しくもあり、嬉しくもある。
今だけは、お前に彼女を譲ってやる。
そんな複雑な気持ちで彼女を見つめていた。