【隼斗side】


クリスマス直前の土曜日の夕方。

俺とゆのは、華道家 桐島蘭清主催のクリスマス・花の祭典に招待されていた。


一流ホテルの大広間で催されるこの祭典は、

毎年クリスマス直前の土曜の夜、開かれる。


ホテルの大広間には結婚式の披露宴を思わせる豪華な食事と

華道家ならでは………溜息が零れるほどの素晴らしい花が飾られている。



華道界の異端児と言われるほどの人物、桐島蘭清。

独特の世界観と斬新な手法で観る人を魅了する。



俺らの結婚式でもお世話になった、世界的に有名な華道家。


藤堂家は昔から付き合いがあり、

こうやって色々な催し物に招待される。


スタッフの案内で席に通された俺達は、

あちこちに飾られた花々を眺めていた。


すると――――。


「隼斗さん」

「ん?」

「入口付近にいる2人をご存知ですか?」

「え?…………どの人?」


ゆのがテーブルの下でそれとなく指差す方向。

正面入り口のドア付近に人だかりが出来ていた。