今日、自宅に招いたのは……。
沢田 聡とその恋人、本田早苗である。
俺の秘書の沢田には恋人がいる事は以前に話してあったが、
その相手が誰かという事は話していなかった。
というのも、杏花から聞かれた事が無い。
恐らく、本人が口にしないのに
他人から聞くのは良くないと思っての事だろう。
そんな風に他人を思いやる彼女。
俺もそんな彼女の想いを酌んでいた。
会長夫人の護衛兼秘書をしている本田。
以前からプライベートでも仲良くしている。
けれど、普段からミステリアスなオーラを醸し出している彼女は
私生活を口にする事は決してない。
それは、仕事で仕える主人の存在感を引き立たせる
彼女なりのワーキングスタイルでもあるらしい。
本田は一条に仕える前は、とある国の王女の護衛をしていた。
そして、その護衛していた王女が嫁いだ事もあり、
それを機会に日本に帰国したという。
そんな彼女に一目ぼれをした沢田。
俺が大学1年、沢田が3年の時に俺らは彼女に出会った。
そして、変らぬ一途な沢田の想いに本田も音を上げ、
付き合い始めたと聞かされたのが俺が大学4年の時。
かれこれ10年近く、この2人を見守っている。



