「いらっしゃっ………」
玄関へと駆け寄った杏花が2人を見て硬直した。
「こんばんは」
「こんばんは、杏花さん」
「えっ?!………え、えっ、えぇ~ッんっ!!」
大きな目が更に大きくなり、
あまりの驚きようで思わず大声を出しそうになる彼女。
そんな彼女の口をすかさず手で塞いだ。
「杏花、斗賀が起きる」
「んッ………んんんんっ」
目を見開いたままの杏花は、俺に向って何度も頷く。
そんな杏花も可愛く見えて、思わず頬が緩み出す。
「要、上がってもいいか?」
「あっ、悪い。とりあえず、上がって」
「お邪魔します」
「お招き頂き、有難うございます。失礼します」
俺と杏花を横切るように2人は室内へと歩み進める。
杏花の口元から手を離すと、
「要、どうして教えてくれなかったの?」
「フフッ、驚いただろ」
「もう、驚いたなんてもんじゃないよ!!それに、あの2人って、付き合ってるの?」
「フフッ。それは、本人達に聞くんだな」
「えぇ~?!」
「しっ!!」
「あ、ごめん」
2人とも自然と視線が下りてゆく。
俺の腕の中でスヤスヤと眠る愛息子へと……。



