「こんばんは」
大きな花束を抱えた女性が会釈した。
そして、その隣に
ラッピングが施されたワインボトルを手にしている男が。
「いらっしゃい」
俺は笑顔でそう言うと、
「杏花さんは?」
「フッ。キッチンに張り付いてる」
「杏花さんらしいな」
「私もお邪魔して大丈夫なのでしょうか?」
「あぁ、勿論。きっと、相当驚くと思うけど」
「…………ですよね」
ほんの少しはにかんだ女性。
そんな女性の背に手を当てる男。
「そろそろ行こうか」
「あぁ」
「宜しくお願いします」
「こちらこそ」
俺は2人を連れ、再び専用エレベーターに乗り込んだ。
そして、自宅玄関のドアを開け……。
「杏花~」
「………はぁ~い!!今行きま~す」
いつもより弾んだ彼女の声が聴こえて来た。
そして、軽い足取りで駆けて来る足音。
俺は2人を招き入れ、2人にアイコンタクトを図る。
すると、2人は少し緊張気味に微笑んだ。
そして…………。



