「一条先生!!」
(訳:一条様!!)
「ッ?!」
突然、ホテルスタッフに声を掛けられた。
「太太非常漂亮令人羨慕」
(訳:奥様がとてもお綺麗で羨ましいです)
「??」
何だ?! 急に……。
杏花に一目惚れでもしたのか?
俺が当惑していると、
「極好的時間……」
(訳:素敵な時間を…)
「ん?」
スタッフはにこやかな笑顔で会釈し、
一体、何の事だ??
香港滞在の際はいつもこのホテルを利用している。
だから、俺が何者なのかもスタッフは皆知っているが、
杏花を連れて来たのは今回が初めて。
マジで気に入ったんじゃないよな?
合点がいかないまま、俺は部屋へと向かった。
♪ ~ ♪ ~ ♪ ~
ドアベルを鳴らすと、
―――――カチャッ。
ほんの少しだけドアが開いた。
ん? 何なんだ??



