俺の胸で泣き崩れる絢に
「ごめん」
「うっ……っ……」
「俺には絢しか考えられねぇから」
「うぅっ…」
「もう泣くなって」
「ううぅっ……っ…」
彼女の頬をつたう涙を指で拭い
彼女の瞼にキスを落とす。
「マジでごめん」
「うっ……うん」
絢は俺の服をギュッと掴んで。
そんな彼女の頭を優しく撫で、おでこにキスを。
暫くして漸く落ち着いて来た絢。
俺は机の上から小袋を取って来て、
「ん」
「え?」
「ホワイトデー……だから?」
「えぇっ?!」
驚く彼女の手のひらにそれを乗せ、
「要らないのか?」
「えっ?あっ、だって私……慧くんに何もあげてないよ?」
「ん、そうだな」
「えっ、じゃあ何で?」
「理由がないとあげたらダメなのか?ってか、要らないなら返せよ」
「あっ!ヤダ!!欲しい、欲しいに決まってるじゃん」
俺が取り上げそうになった小袋を手にして、
嬉しそうに胸に抱きしめた。



